日本のパスポートについて


10年用の一般旅券
(2006年3月以降発行のICパスポート)

日本の法令上では、パスポートのことを旅券(りょけん)と呼ぶ。詳細は、旅券法(昭和26年法律第267号)、旅券法施行令(平成元年政令第122号)、旅券法施行規則(平成元年外務省令第11号)により定められている。

種類・様態

日本には、(一般)旅券・公用旅券・外交旅券の3種類のパスポートがある。いずれの旅券にも、日本の在外公館において国章として慣例的に用いられている菊花紋章(十六弁八重表菊紋)に似た「十六弁一重表菊紋」が、表紙中央に印刷されている。なお、サイズはB7サイズ(ISO規格のものであって、JIS規格ではない)である。

(一般)旅券 - 一般的なパスポート
有効期間は、5年用(紺色)と10年用(赤色)の2種類がある。成人者はどちらにするか選択できるが、未成年者は5年用しか取得できない。これは「未成年者は成長に伴う容貌の変動が著しい」とみなされているため。
現在は、期限内なら何度でも出帰国できる「数次旅券」が原則となっているが、以前は1回の渡航のみに使用できる「一次旅券」も自由に申請・取得できた(法令上は一次旅券制度自体は残っているが例外的運用となっている)。
犯罪を犯したり検察庁から公訴を提起されている者・仮出所中・執行猶予中など事情がある者については、行き先や有効期限が制限されたパスポートが交付されたり、申請を却下される事もある。
公用旅券 (OFFICIAL PASSPORT) - 国会議員や一般の公務員、公的機関の職員等が公務で外国へ渡航する場合に交付される。
「OFFICIAL PASSPORT」表記で緑色の表紙
渡航地まで往復の一次旅券が原則だが、渡航が頻繁な者に限って数次公用旅券が発給され、またヨーロッパなどへの派遣の場合、申請によって渡航先を増やす事も出来る。
一般旅券とは内容も違い、身分証欄には名義人の官職名や旅行目的(普通は「政府(所属機関)の命による」である)が記載されている。また、「注意」の欄には旅券法違反時の罰則についての説明書きが無い。
外交旅券(DIPLOMATIC PASSPORT) - 皇族、外交官やその家族、三権の長や大臣等の政府高官が、公務で渡航する場合に交付される。
「DIPLOMATIC PASSPORT」表記、濃茶色の表紙
渡航地までの往復の一次旅券が原則だが、渡航が頻繁な者(職業外交官など)に限って数次外交旅券が発給される。公用旅券同様、身分証欄には名義人の官職名があり、「注意」の欄には旅券法違反時の罰則についての説明書きが無い。
なお、外交旅券を所持している者が必ずしも外交特権を享受できるわけではない。外交特権を享受するためには、名義人が国家元首、総理大臣、外務大臣等であるか、又は接受国に外交官として接受されている必要がある。逆に、一般旅券あるいは公用旅券のみ所持している者でも、接受国に外交官として接受されていれば、外交特権を有する(日本では外交団員として登録され「外交官等身分証明票」を交付されている事)。
なお、天皇と皇后は国際慣習上国家元首という位置づけにより旅券は必要無い。

この他に、渡航先で旅券を紛失して再発給を待つ時間が無いなどの理由がある人に対し、日本へ帰国する渡航中に使用するための1回限り使用可能な渡航文書として「帰国のための渡航書」が交付される。この場合は当該渡航書の発給と同時に日本の外務省の記録上でそれまで所持していた旅券が無効化されるため、元の旅券が後日発見されても使用することはできず、新たに旅券取得の手続をする必要がある。また、“親族が外国で事故に巻き込まれ救援に出向く必要があるが自分の旅券が失効してしまっている(旅券を持っていない)”などという場合は即日または翌日発行の「緊急発行」という処理がある(通常は申請から交付通知発送まで1週間ほどかかる)。

日本に到着後の入国審査官による帰国手続の際、船員手帳しか持っていない、パスポートの期限が失効していた等々の理由で帰国確認の証印を押せない場合は、「帰国証明書」が交付される。こちらは「帰国のための渡航書」のように外務省が発行する文書でなく、法務省の地方入国管理局に属する入国審査官の判断・都合により交付されるもの(渡航文書の代替でなく証印の代替)に過ぎないため、法令上直ちに元の旅券が失効とはならない。


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